第11話:突破口
総大将シャルロッテ・ローゼ・ディグリードを先に進ませるため、
クラウスはあえて一人残り、挟撃を防ぐための足止め役を買って出た。
そこへ、魔力暴発ばかり起こす“お荷物魔道士”がついてきてしまう。
しかし、彼女は防御壁の専門家。
抜け穴を塞いだ上、ふと手にした槍の才能に目覚め、まさかの覚醒。
クラウスと肩を並べ、敵を薙ぎ払うかのような無双ぶりを見せつけた——。
クラウスとリィムの前には、依然として無数の魔族が立ちふさがっている。
敵の総大将が止めたのか、はたまたなんの前触れか……
一瞬だけ小康状態が戦場の『時』を止める。
先頭に、やけに大きなバトルオークや異形のモンスターなのか魔族なのかを従えた……
『異形の操邪』メイビスが微笑みかけていた。
そろそろ覚悟はいいかしら?』
お前たち……いたぶってあげなさい』
メイビス『どうせ剣士ですしね、
多数に来られるとどうしようもな………』
そう、クラウスが剣を放り投げると、クルクルと剣が空中で弧を描き……メイビスのいた場所を大きく吹き飛ばしたのだ!
『へっ……ただの剣士だと思うなよ?』
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その様子を伺っていた。
ヴァルキリーのように戦場を飛び跳ねている暴発魔道士リィム。かつての自信なさげな儚い女性ではなく自信に満ち溢れており、あちこちに雷撃を振りまいている。
魔族は1匹、また1匹と焼かれて動けなくなっていく。
ただ…………見るからに練度が足りていない。
しばらくは雷鳴があたりに轟いていたが……
やがてそれは少なくなり……
………ついに聞こえなくなった。
そして……
クラウスのいた小さな丘も、やがてモンスターで埋め尽くされた。
伝令の冒険者の顔は悲壮感に満ちていた。
隊員『クラウス隊長達が抜け道を塞ぎ……
その向こうに……魔族多数っ!
そして……その敵のかず…………数千……っ』
ディグリード『くっ……!』
マティア『クラウス……っ』
長くともに戦ったクラウスが、最期に挟撃を防いでくれた。
このままだと消えた街方面からとフィゴからの攻撃でどうにもならなかったであろう。
クラウスがせっかく作ってくれたチャンスだ……悲しんでいる場合ではない。
ディグリードは状況を整理する……
ディグリード『明朝、全軍突撃するっ!
目標はフィゴの荘園魔族軍!!
補給の観点からソフィアを陥落させるわけには行かない。
ソフィアにさえたどり着けばなんとかなる。戦力の補充もでき、メガレイドがあれば態勢を立て直せる!
もし…
わたしが倒れても息があっても駆け抜けろ!!
翌朝……
ディグリードたち全軍がモンスターの群れに向かって突撃を開始した。
捨て身と言ってもいい攻撃だが、培った連携プレーは見事にモンスターを蹴散らし、モーゼの十戒よろしく突破口を作った。
全軍が1本の光条のように縦一直線となり、モンスター軍を半分に割った。
ディグリード
『突っ切れ〜!!』
ディグリードは先陣を切り、巨大なシールドをブルドーザーのように前に掲げ、モンスターを跳ね飛ばすかのように突き進んでいった。
ヒュウ……
後ろで風が横に吹き抜けるような感覚!!
ブババババっ!!!
縦一直線になっていた隊列のちょうど真ん中を横薙ぎに光線が横切った。
『レ……レイザー……!?』
人類が知っているどんな術式レイザーよりも強力な横薙ぎが隊列を分断した。
『アシュリー!ウォール』
アシュリー『イエス、マスター』
くぐもった魔族魔族した低い声でアシュリーと呼ばれた人獣が炎の壁を作り出す。
背中には8本の触手、体表は赤と黒でどこからどうみても純魔族にしか見えない。
らんなの身体は………
突き破られ、もう面影すらなかった。
ディグリード『マティア!』
後方の部隊に取り残されたマティアが言う。
ディグリード『いや、諦めるなっ!
まだ来れるっ!』
マティア『ソフィアに必要なものは貴女よ!
……貴女がいれば…
メガレイドはまた立て直せる!』
ディグリード『そんなっ!』
マティア『ソフィアにたどり着くのが最優先事項……なんでしょ?』
ディグリードはわかっていた。このまま戻ってもどうすることもできない。
さらにこれは自分で言ったことだ……
『誰が倒れても、ソフィアにたどり着け』
一瞬………シャルロッテの脳裏に昔の出来事が鮮明に思い出される……
ほんの……ほんの一瞬だけでも……
想いを馳せる時間があることに感謝し………
ディグリード『任せた!』
そう言うと踵を返し、ソフィアに向かった。
ディグリードはもう振り返らなかった。
マティア『プロボーク!!』
マティアから赤黒いオーラが放たれ、モンスターの意識が後方部隊に集中した。
貴女も行ってくださいっ……
シャルには貴女が必要です!』
どうせ………この脚じゃ追いつけません』
ゆうらんも歳をとっていた。
その年齢の割には健脚ではあったが、これでは逆に足手まといになるだろう。
マティア『最初からそのつもりで…』
ゆうらんは『にっ』と一瞬だけイタズラっ子の顔になる。
うらんによく似たその笑顔はなんだかとても頼もしく見えた。
ゆうらん『それじゃ………
一世一代の支援……
派手に行きましょうか!』
ガガガンっ!!
ゆうらん、マティアはありったけの魔力を溜め始め、迫りくるモンスターにぶち当てた!
後方は一切振り向かず……
シャルロッテを追う魔族だけを狙い撃ちにする。
少しでも………そう、少しでも!
シャルロッテに時間をっ!!!
しばらくしてその一帯も…
モンスター群に飲み込まれていった。










