第12話:最期の提案
ソフィアに急ぐディグリードの部隊はすでに13名まで減らされていた。
これは一般的なギルドレイドよりも少ない人数である。
ディグリード『もうすぐソフィアだ!
ウィテカを越えればすぐだ……立て直すぞっ!』
そう……。
ソフィアにさえたどり着けばなんとかなる。
高い城壁、王立軍、豊富な物資……
憔悴しきった部隊の顔色が少し回復したように見えた。
だんだん暑くなってくるのはウィテカ火山の熱気を帯び続けているからだ。
ディグリード『よし、一気に行くぞっ!』
ディグリードたちはたちはウィテカ火山に足を踏み入れた!
辺り一帯が灼熱の空間に変化した。
すべての出入り口が炎の壁で塞がれ、さっきまで蠢いていたモブが焼失する。
ディグリード『なっ!!』
意識が飛ばされそうになるほどの熱がディグリードたちを襲う。
その1番の熱源……
ウィテカ中央に目をやると………
荒れ狂う炎を纏った【焔帝】ベリル・マーカムが実体化していた。
ベリル『ほう……
アシュリーを振り切ってきたか』
そう………相手は魔族一体のみ。
取り巻きはいないのか、
それとも絶対の自信を持っているのか……。
ベリルはたった一体で……
構えるでもなく、ただ……立っている。
我は全てのチカラを取り戻したのだ。
貴様らニンゲン共には指一本触れられない…』
『なんだと……っ!』
冒険者の一人が両手剣を構えて斬りかかる
ディグリード『ダメッ!!』
剣筋はベリルを一刀両断するコース。
しかしベリルは避けようともしない。
その瞬間に剣もろとも冒険者の身体が燃え上がる!
それに触発された数人がベリルを取り囲み一斉に攻撃するが、すべて同じ末路を辿った。
タンクを起点に遠距離武器に切り替えっ!
魔職は水属性で最大火力で!!』
飛びかかってくるものが居なくなったので、ベリルがゆっくりと動き出した。
肩をゴキゴキ鳴らしながら、タンクに向かって『拳』で殴りかかる。
ぶわっ!!!
一瞬にしてタンクが炎に包まれ絶命した。
そこにフリーズアローが降り注いだが………
じゅうううう……っ!!
熱したフライパンに水をかけたような音とともにあたりが水蒸気で覆われた。
くっ!
面白いじゃないか……
それでは魔界の魔法も見せてやろう……』
ベリルは右腕を振り上げ、ただ振り下ろした。
『無詠唱っ!?』
天空から火球がいくつも落ちてくる。広範囲を隙間なく爆撃するように落ちる火球は魔職たちを文字通り灰にした。
ベリル『さてと……あとはお前一人
ディグリード・ローゼ・シャルロッテよ。
これまで我の手をよくも煩わせてくれたな。
一応、褒めてやろう』
悲壮感を打ち消すように、ベリルを一層にらみつける。
その眼差しには強い怒りと強い意志の力がまだ残っている。ふむ……
ベリル『1つ提案がある……』
シャルロッテ『なんだっ!?』
押しつぶされそうな凶悪な『圧』に必死に気力をふり絞りながらシャルロッテは大きく声を張り上げる。
ベリル『魔界の特に我の軍勢は、全くと言っていいほどまとまりがなくてな…
ニンゲン風情だが、お前が魔界の軍勢をまとめられるのか、単純に興味が湧いた。
どうだ?
お前を魔界軍の指揮官にしてやろう……
シャルロッテ『はっ?!』
ディグリードは面食らった。
何を言い出すんだ、この魔族は……!
ベリル『ソフィアが惜しいなら残してやろう……仲間も数人なら入れてやってもいい。
シャルロッテはくるりと踵を返し……
シャルロッテ
『甘く……見るなぁっ!!!』
一瞬後ろを振り返りざまの回転斬り『ルヴニール』でその手を斬り裂いた。
ベリル『……そうなるわな…』
ベリルの顔から笑みが消えた。
焔槍を構え……大きく顔の横まで振りかぶる!
シャルロッテ『まずい!』
シャルロッテは大盾を構え、
『パーフェクトディフェ……』
シャルロッテの盾が砕けちり……その間から伸びてくる穂先が、人類の希望や想いごとシャルロッテの胸を穿いた!
ベリル「お前たちとの戦いはなかなか楽しめたぞ、ふふふ……ははは……
はーっはっはっは!」
ベリル・マーカムの哄笑を遠くに聴きながら、シャルロッテの意識は闇へと落ちていくのだった………
つづく
次回予告
最悪の結末に陥った32年後のミライ……
この世界はどうやって救えばいいんだろう。







